CuGo MEGA導入事例【遠隔操作人型ロボットDiaroiD_三菱電機様 】

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お馴染みの家電製品から世界的な技術プロジェクトまで、幅広い事業を手がける三菱電機様。

今回はさまざまな環境に適応する遠隔操作ロボット開発にCuboRexのCuGo MEGAをご導入いただきました。

 

導入に至った背景や今後の開発展望などをお伺いしました。

 

 

ーまずは御社の担当部署のサービスや事業について教えてください。

 

三菱電機は家電製品から人工衛星まで幅広い事業を展開しておりますが、

この開発は、兵庫県尼崎市にある電子通信システム製作所で、先端技術総合研究所と協力しながら進めています。

 

製作所の中でもインフラ情報システム部が進めており、その主要事業の一つに、望遠鏡システムの開発があり、ハワイにある「すばる望遠鏡」や、南米チリにある「アルマ望遠鏡」、他には宇宙状況監視のための望遠鏡など、様々な開発に携わっています。

 

2023年6月に発表された、三菱電機株式会社 「遠隔操作ロボットの今と未来」より

 

ー今回CuGo MEGA をご導入いただいた遠隔操作人型ロボット「DiaroiD」についての詳細を教えてください。

 

先ほどお話したアルマ望遠鏡は、南米チリの標高5,000mの高地に設置されています。

この現場環境の過酷さが、私たちのロボット開発の原点でした。

 

2023年6月に発表された、三菱電機株式会社 「遠隔操作ロボットの今と未来」より

 

高地に登るだけでも大変で、長時間滞在できない過酷な現場での作業を経験し、今すぐではなくても将来的に現場の作業員の負荷を軽減することができないかという思いで、この遠隔操作ロボットの開発が始まりました。

そして、このロボットには、私たちが「すばる」や「アルマ望遠鏡」などの大型構造物製造の精密制御で培ったメカトロ技術が応用されています。

 

ジョイスティック式のコントローラーでハンドル操作をしながら、遠隔地から直感的な操作で人間の動作を再現します。

 

人の作業を代替することがコンセプトであり、シュークリームからダンベルまでと表現しておりますが、押す、引くといった人間の基本的な動作や電動工具も使うことができます。

 

コンセントを挿すなど細かい動きも再現でき、バッテリーが不足すると自分で充電をしにいけるという機能につながります。

 

2023年6月に発表された、三菱電機株式会社 「遠隔操作ロボットの今と未来」より

 

 

ーDiaroiDは今後どのように活用されていくのでしょうか?

 

もちろん宇宙開発関連の作業にも利用して行けたらと開発を進めていますが、今後の可能性としてはふたつあります。

 

一つは技術者のキーマンの時間の最大化です。

特殊かつ専門的な技術の場合、作業そのものが俗人的になりがちです。

DiaroiDを使えば、各地に配置されたロボットへ、一人のベテラン作業員が移動時間なくアクセスでき、高い技術レベルが要求される作業を多拠点で実施できます。

さらに操作の内容をデータで残すことができるので、作業のデータ化も可能になり、後進の育成にも役立てることができます。

 

二つ目は、ロボットが一つの場合でも操作拠点が増えるという点です。

例えばインフラシステムを24時間安定的に稼働させたい、といったニーズがある場合でも、時差を利用して適切な稼働時間で作業交代をすることができる。

労働力の偏りを軽減し、効率化を図るということが期待できます。

 

2023年6月に発表された、三菱電機株式会社 「遠隔操作ロボットの今と未来」より

 

ー導入前に足回り開発に関して抱えていた課題はどんなものがありましたか?

 

大きく3つありまして、ひとつはコストです。

今回は試作三号機となります。開発の予算がかなり絞られてきたこともあり、

クローラーの部分もコストダウンが必要になり、選定に苦労していました。

 

二つ目は、操作インターフェースの制約です。

クローラーの方向転換の際に舵を切るタイミングの応答性や直進性を担保できるか、という課題がありました。

 

三つ目が、搭載可能質量を大きくしたかった、という点があります。

CuGoMEGAであれば、想定していた重量物を搭載しても極端な傾斜でなければ問題なく使用できる。そこのメリットは大きかったです。

 

ーCuGo MEGAを知ったきっかけはどんなものでしたか?

 

それまでの試作一号機、二号機は他社製の農業用クローラーの荷台部分を取り払ってそれを利用していました。

先ほどの課題を解決できる足回りを探す中で、ネット検索で見つけました。

 

ー他社製品と比較検討されましたか?ご導入の決め手はなんだったのでしたでしょうか

 

今回はコストを抑えることも大きな目的でしたので、海外製や以前導入していたものも含めさまざまな製品と比較検討しました。

 

コスト削減の動きの中で、価格との折り合いがつく製品がなかなか見つからなかった。

その中でCuGo MEGAを選んだ理由は、価格と機能性のバランスが一番取れていると感じたからです。

 

ーご導入はスムーズでしたか?納期、サポートなどのご満足度はいかがでしたか?

 

大きなトラブルなどもなく、想定内の納期で導入に関してはとてもスムーズでした。

 

ー実際に製品を導入したことで解決できた課題、感じたメリットなどはどんなものでしたか?

 

やはりコスト面とのバランスです。作り込みが容易で応用性が高い。

導入時に期待していた通り、とにかく製品開発の自由度が高いです。

 

また、他社の足回りは左右の車体が連結しているものが多く、開発の自由度という点では群を抜いていました。

以前のものだとロボットの構造の配置がきまってしまい、重心が下げられない、クローラーの間に物を置けない。そういった課題はCuGo MEGAを使うことで解決できました。

 

 

 

ー開発メンバーの皆様からの反響はいかがでしたか?

 

開発メンバーからも配置や機構設計の自由度の高さ、通信のインターフェースなど、ある程度自分たちのやりたいようにできるという柔軟性の高さが大変好評でした。開発のやりやすさはメンバーからの声としてとても大きかったです。

 

ー逆に、実際に使う中で感じたデメリットと、今後改善を期待する点はいかがでしょうか?

 

実は結構色々ありました。

一つ目は駆動中の衝撃に弱い、という点です。

強度的な問題や、輸送中に振動が加わると緩んでしまうなど、アルミフレームに関する問題はいくつかありました。

また搭載質量と重心位置によっては、段差移動時に上半身の揺れが結構大きくなってしまう。そこも一つ課題だなと感じています。

 

そして、現在はロボットのバッテリーとクローラーのバッテリーが別々になっています。

できればクローラーのバッテリーからロボットの電源を供給できるとよりいいなと。バッテリーの稼働時間という点でも改善されるといいなと思います。

 

あとは搭載可能質量をもう少し増やして欲しい。

ロボット自身が重量物を持っても大丈夫なようにしたいです。

 

乗り越え可能な段差量がもっと大きくなるとか、防水防塵性の向上やサイズを大きくして

オフロード環境でも更なる利便性の向上があればいいなと感じています。

 

ー今後の開発の展望、実現したい未来はどんなものでしょうか?

 

人の作業を代わりに行う遠隔操作の人型ロボットを通じ、労働力確保が課題となる過酷な場所での作業や仕事において、現在と未来の安心・安全に貢献できるよう可能性を広げていきたいです。

 

2023年6月に発表された、三菱電機株式会社 「遠隔操作ロボットの今と未来」より

 

 

 

お話を伺った皆様

 

■三菱電機 電子通信システム製作所

川口 昇様(技術統括)

インフラ情報システム部 宇宙観測・通信システム課 馬場 健介様(プロジェクトリーダー)

インフラ情報システム部 宇宙観測・通信システム課 武田 晃一様

技術部 電源制御技術課 第二チーム 星野 隼人様

営業部 宇宙・通信プラント営業課 渡邊 哲也様

 

■三菱電機エンジニアリング

通信機技術第二部 装置設計課 冨田 洋介様

 

■三菱電機ソフトウェア

電子システム事業統括部 通信機事業所 第一技術部 神田 吉孝様

電子システム事業統括部 通信機事業所 第二技術部 佐藤 亨様

 

 

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三菱電機の皆様、ありがとうございました!

CuboRexは今後も三菱電機様の研究開発に貢献してまいります。

 

CuGoMEGA は現在お取り扱いがございません。

後継機のCuGoMEGA M2ベースキットの詳細はこちら!

https://cuborex.myshopify.com/collections/cugomega-m2/products/cugomega-m2